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【オンラインストア限定】木桶生もとver.1.0

価格: ¥2,200 (税込)
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造り手自らが木桶を組み、醸す

2022年秋、大阪府堺市の藤井製桶所の工房で完成した一本の木桶。
桶師の方々から技術指導を受けてきた四号蔵杜氏・中須賀玄治が、自ら組み上げたものです。

酒造りにおける木製道具の価値が見直されているいま、木桶を使用する蔵は各地にあります。しかし、造り手自らが「木桶を組み、仕込んだ」お酒は多くありません。
中須賀杜氏は準備期間に一年を充て、自作木桶による本格的な醸造に向けた、初めての試験醸造にこぎつけました。




きっかけとなった「木桶プロジェクト」

始まりは2018年。賀茂鶴の社内に一つのプロジェクトが立ち上がりました。木製桶の自社補修・製造を目指すプロジェクトです。

木桶や木製の甑(こしき)は保温性と調湿性に優れているため、古くから酒造りの現場で使用されてきました。しかし戦後は、扱いが容易でメンテナンスの手間が少ないホーロータンクやステンレスタンクに取って代わられ、小型から大型までの仕込み用木桶を手掛ける桶屋は、全国で藤井製桶所一軒のみに。その藤井製桶所も桶師の高齢化を理由に、大型の木桶の受注を停止したいという一報が届きます。

藤井製桶所製の木製甑を使用していた賀茂鶴酒造でも、対応を迫られ、思いきって、藤井製桶所の桶師 上芝氏、藤井氏に技術指導を依頼。中須賀をはじめとした若手醸造社員を中心に、自ら木桶を補修・製造する「木桶プロジェクト」が本格的にスタートし、木桶仕込みに挑戦する大きなきっかけとなりました。

〈※プロジェクトの様子、藤井製桶所の取材記事などの関連コンテンツは下記よりご覧になれます〉





そうして出来上がった第一号の大型木桶。
「いつかこの木桶でお酒を醸したい」そう願ったものの、かつて使われていた木桶でのノウハウが現在の社内には少ないため、試験醸造から始めなくてはなりませんでした。
まずは、酒母用に組み上げていた小型木桶を仕込みに転用し、少量の醸造から始めました。




道具は木桶、製法は生もと、蔵付き酵母で醸した純米酒 原酒

木桶仕込みは、育まれる酵母を始めとする菌類が酒の風味に深みを与えることで、独特の個性が生まれます。その個性を生かしながら、雑味のないきれいな酒質を表現するために、たどり着いたのが「生もと造り」でした。

江戸時代に確立された伝統的な製法ですが、現代では様々な手法の「生もと造り」が行われています。
今回は、酵母はもちろん、乳酸菌も無添加。米と水、蔵内に棲みつく様々な微生物の力で発酵させる、いわば”蔵の力を活かす”生もと造りです。

仕込みは4月末よりスタート。場所は四号蔵。ほかの酒造りの作業を終えた午後から、数名の醸造スタッフと洗米~蒸米~製麹作業が始まりました。

「生もと造り」で重要なのが、「もと摺り」と呼ばれる酒母を育てるための工程。
麹、蒸米、仕込水を半切桶に入れ、蕪櫂(かぶらがい)という木の道具ですり潰していく、体力が求められる作業です。この作業を行うことで、自然界にいる乳酸菌が繁殖しやすい環境を作ります。
1番櫂、2番櫂、3番櫂と一日3回に分けて、ペースト状になるまですり潰します。
一晩寝かせた後、桶に移し、毎日少しずつあたためながら、ゆっくりと発酵を促します。

「もと摺り」から13日目。シュワシュワという小さな音とともに細かな泡が現れ始めました。空気中の酵母が桶内に入り込み、アルコール発酵が始まった証拠です。(※いま主流の「速醸仕込み」であれば5日間ほどで発酵)

毎日、変化を見守ってきた中須賀杜氏も安堵します。
酒母期間を終え、醪になると泡は一層大きく木桶から溢れんばかりに。力強い蔵付き酵母ならではの変化です。


仕込み始めてから、酒を搾る「上槽」までおよそ50日。(※「速醸仕込み」であれば20~30日)もろみを搾ると、「青冴え」と呼ばれる青みがかった黄色の美しいお酒に。

杜氏としての作業は無事終了。しかし中須賀杜氏は、瓶詰と火入れ(加熱処理)作業にも参加します。手のかかる子ほどかわいいから最後まで見届けたい。そんなお酒なのでしょう。

火入れ後のお酒を口に含むと、とてもフルーティーな香り。しかし、若くてまだ辛く、後味もスッキリし過ぎ。適切に寝かせ、味が熟すのを待つことに。

数か月後、適度に熟成が進み、すっきりキレのある飲み口はそのままに、旨味がしっかりとのってきました。燗で試すと、まろやかで、より旨味が感じられる味わいに。

温度帯によって味わいが変化する面白さに加えて、過酷な環境を生き抜いた「生もと造り」のお酒は、独特の力強さを宿します。「生もと造り」のお酒は熟成の速度がゆっくりなため、長期熟成にも適しています。

この商品は瓶詰から発売まで、およそ10か月の熟成期間を設けました。適切な保存方法で保管すれば、品質が劣化しにくく、コクと深みのある味わいを長く保つことができます。ご自宅で熟成させながら、じっくり楽しむのもおすすめです。

初めての木桶仕込みを終えた中須賀杜氏。「ver.1.0」での反省や気づきをもとに、すでに2回目の試験醸造に取り組んでいます。
次回はゴールド賀茂鶴も仕込む、”伝統”の8号蔵内での「生もと造り」に挑戦。 蔵を変え、異なる「蔵付き酵母」でどのような違いが生まれるのか。
販売時期は未定ですが、次作の「木桶生もと」にもぜひご期待ください。




〈皆さまへのお願い〉
取り組み始めたばかりの木桶仕込み。木桶の可能性を探るため、お客様の声を集めたいと考えています。アンケートフォームから、味わいやご意見をお寄せください。今後の参考とさせていただきます。 QRコード先のアンケートフォームより、ぜひご意見・ご感想をお聞かせください。


※朝日新聞様からの取材を受け、取り組みの様子が1月20日付の広島県版に掲載されました。
こちらの記事もぜひ、ご覧ください。

江戸時代の酒造りに挑む令和の杜氏 賀茂鶴酒造・中須賀玄治さん|朝日新聞デジタル

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